📝 要約
「ブルシット・ジョブ」とは、社会にほとんど貢献していないにも関わらず、高給を得る仕事のこと。グレーバーは、このような仕事が増えたことで、社会にとって本当に必要な仕事(シット・ジョブ)が低賃金で軽視されるようになったと指摘する。
① なくても困らない仕事ほど給料が高い
- 政治家やコメンテーター、企業の顧問弁護士など、社会的に必要不可欠とは言えない職業ほど高給を得ている。
- 一方で、介護、保育、スーパーの店員、トラック運転手などのエッセンシャルワーカーの給料は低い。
- これは、社会的な価値と報酬が逆転している「逆相関」の状態にある。
② 「1日3時間労働で十分だったはず」
- 20世紀の経済学者ケインズは「21世紀には1日3時間労働で十分になる」と予測していた。
- しかし、現代人は週40時間以上働いている。
- これは、テクノロジーが労働を減らすために使われるのではなく、「より働かせるため」に利用されたから。
③ 無意味な仕事が増えた理由
- 「暇でいることは悪」という価値観が広まった結果、不要な仕事が増えた。
- 効率的に仕事を終わらせると、さらに仕事を振られるため、わざとダラダラ働く文化が生まれた。
- 仕事を売っているのではなく、「時間」を売るようになったため、成果ではなく労働時間が評価される社会になった。
④ 「ブルシット・ジョブ」5つのタイプ
- 取巻き:誰かを偉く見せるための仕事(例:エレベーターガール)。
- 脅し屋:不要な対立を生む仕事(例:広告業やテレビのコメンテーター)。
- タスクマスター:管理職のふりをするだけの仕事(例:不要な会議の司会)。
- 書類穴埋め:無駄な事務作業を増やす仕事(例:誰も読まない報告書の作成)。
- 尻ぬぐい:ブルシット・ジョブのせいで発生した問題を解決する仕事(例:不要なクレーム対応)。
⑤ 仕事の価値を決める「やりがい搾取」
- 社会的に意義のある仕事ほど、「やりがいがあるから低賃金でも仕方ない」とされる。
- 例:教師や介護士が「子供のために働くのだから給料は低くてもいい」とされがち。
- しかし、これは優秀な人材が本当に必要な仕事を避ける原因になっている。
⑥ ベーシックインカムが解決策になりうる
- すべての人に最低限の収入を保証すれば、不要な仕事を辞められる。
- 企業側も無駄な雇用を減らし、人件費を最適化できる。
- 必要な仕事の給与を引き上げる圧力が生まれるため、介護や医療などの労働条件が改善される可能性がある。